はい。アーク陽極酸化は、処理するアルミニウムそのものを酸化させる工程で、できた酸化皮膜は元の表面の上にも下にも位置します。そのため ADC12 フレームの ±0.02 mm の座面は、皮膜を付けた後に動きます。槽に入れる前にその面をマスキングしない限り、動きます。
アーク陽極酸化は、金属の上にコーティングを載せる工程ではありません。すでにある金属を変える工程です。電解液中の放電が酸化皮膜を局所的に破壊し、その地点が結晶性のアルミナとして再び成長します。成長した皮膜の一部は元の表面より上に立ち、一部は基材の内側へ入ります。皮膜と金属の間に別の層はありません。めっきの下地も、接着の層も、剥がれる縁もありません。この同じ構造が寸法を動かします。槽から出てきた面は、槽に入る前の面ではありません。
ADC12(ASTM B85)では、シリコン相はアルミニウム基地と同じようには酸化しません。そのため皮膜は鋳造肌の上で均一に成長しません。外にどれだけ出るか、内側にどれだけ入るかは、電解液、電流、時間で決まります。
両方向に成長する皮膜は、二つの面で同時に公差を使います。ボアでは、外への成長が径を閉じ、内への成長がその背後の壁を削ります。座面では、外への成長が面を相手から浮かせます。ジョイント座面の目標は ±0.02 mm で、幅 0.04 mm の帯です。外へ 0.02 mm 動いた面は、その帯のプラス側を使い切ったことになります。
実際の確認は、カタログの計算ではなくピンです。皮膜の前にボアへ入ったピンが、皮膜の後に入らなくなることがあります。同じピンが、その場所でどちらの成長方向が支配的かも示します。合わせ面を持たないカバーパネルは、塗装のように皮膜を受けるだけで、何も動きません。両方を一枚の図面に載せれば、マスキングが要るのは片方だけです。
槽に入れる前にマスキングするのは四種類です。ねじ、はめあい、接地点、データム面です。それぞれ落ちる試験が違います。ねじ山の頂部に付いた皮膜は有効径を縮め、通しゲージが入らなくなります。はめあいの皮膜は、ボアを閉じるか、座面を相手から浮かせます。接地パッドの皮膜は、導体を絶縁体に変えます。酸化皮膜が電流を流さないからです。データム面の皮膜は、部品を測る基準の平面を動かすので、皮膜の前後で CMM の読みが一致しません。
部位 | 図面値 | 単位 | 皮膜の影響 | マスキング |
|---|---|---|---|---|
ジョイント座面 | ±0.02 | mm | 面が相手から浮く | 要 |
座面の平面度 | 0.03 | mm | 鋳肌を写す | 要 |
ねじ | 通し/止め | ゲージ | 有効径が縮む | 要(プラグ) |
接地パッド | 素地金属 | 接触 | 接合部を絶縁する | 要(テープ) |
データム面 | 0.03 | mm | データム平面が動く | 要 |
マスキングを漏らしたねじは、見た目はねじのままです。だから皮膜の工程はそのまま通し、ボルトが組立でそれを見つけます。復旧は一つ上のサイズへのリーマ加工で、ファスナの指示が変わります。マスクの一覧を図面と表面処理の指示書に載せ、工場への連絡で済ませない理由がここにあります。
このフレームの膜厚は、量産の槽から採った試片でこれから測る値なので、まだ図面に数値を入れられません。電解液の組成、電流密度、処理時間、合金が結果を決めます。別の合金で示された値は、別の槽を説明していることになります。
それでも図面は測定の方法を決められます。槽ごとに試片 1 枚、読みは合意した測定点で、膜厚計を検査計画に入れます。マスキングはその読みを待てません。意図して裸にした面は判断ですが、偶発的に皮膜が付いた面は手直しになるからです。実際の試片を膜厚計で読んだ値だけが数値を決め、サプライヤーの約束は決めません。
塩水噴霧の時間もこれから測る値で、作業の順序のほうが数値より重要です。時間の値は、規格、試片の作製、その上の皮膜、合否の規則と並べて初めて意味を持ちます。切削油と湿った空気の中で動くフレームは、塩水噴霧の中で使う部品ではありません。
腐食は皮膜が薄いところ、または付いていないところから始まります。だから見るべきはマスキングの境界と切断端で、全体にコートしたパネルは正しい証拠になりません。規格、試片、合否の規則を先に決め、時間は初品を測った後に埋めます。
そこまで決めたら、図面に載せます。マスキングする部位を一つずつ名指しし、皮膜を付ける面は付けると書き、膜厚は量産の試片で膜厚計により読みます。皮膜の後のねじには通し/止めの確認を、座面には CMM の検査を加えます。