起き上がり小法師の貯金箱が起き上がるのは、質量が低い位置にあるからで、部品が重いからではありません。12 mm のザマックのカウンターウェイトベースを持つ亜鉛ダイカストの外殻がその役を担います。6.6 g/cm³ の合金は質量を底部の断面に集め、300±10 g の完成重量が揺れ面の下に収まります。総重量だけでは、ほとんど説明できません。
貯金箱は湾曲した底面で揺れます。傾けると接地点が移り、質量が上がり、重力が押し戻します。戻るのは、質量中心が弧の中心より下、揺れの半径の内側にある間だけです。その中心が湾曲より上に移れば、同じ傾きが転倒になります。
12 mm のベース断面に詰まった高密度の金属が、外殻の最も低い位置でその余裕を確保します。その上の 1.2~1.5 mm の壁は、総重量にほとんど寄与しません。同じ質量を高い位置に置けば、貯金箱は重くなるだけで、安定はしません。
300±10 g という数字は予算であって、上へ追いかける目標ではありません。その質量がどこにあるかの方が、量そのものより重要です。ベースの重量は中心を下げ、外殻の重量は中心を上げて、戻るための余裕を削ります。6.6 g/cm³ のZamak 5 合金なら、ベースに質量を寄せる配置が現実的になります。12 mm の断面が、後ろに厚い壁を置かずに実質量を運べるからです。
二つの部品が同じ帯域に入っていても、挙動は違います。底部に質量がある品は、より強い押しでも起き上がります。上部の外殻が重い品は、棚の上では問題なく見えても、傾斜試験で落ちます。判断するのは中心、その次が総量です。
項目 | 値 | 単位 | 決まること |
|---|---|---|---|
ベース断面 | 12 | mm | 最も低い位置の質量 |
ベース上の壁 | 1.2~1.5 | mm | 質量を低く保つ |
完成重量 | 300±10 | g | 総量の予算 |
合金密度 | 6.6 | g/cm³ | 体積あたりの質量 |
硬貨を入れた試験 | 200 | 枚 | 最悪条件の充填 |
傾斜試験 | 20 | ° | 戻りの確認 |
ベースは外殻と同じショットで、Zamak 5(ASTM B86 AC41A)として鋳込みます。中に鋼の塊は入らず、それを待つポケットもありません。インサートのウェイトには、収めるキャビティと、動かないようにする手段が要ります。インサートと外殻の間に公差の連鎖が増えるからです。どれも、バランスがずれる箇所になります。
一つのショットは、質量を図面の位置に保ちます。12 mm のザマックのカウンターウェイトベースは金型に組み込まれた形状なので、すべての部品が同じ形状と同じ密度を引き継ぎます。別体のウェイトは少し高い位置にも低い位置にもなり、台上で合格した貯金箱が次のロットで通らないことがあります。鋳込みは、その変数を源から除きます。
空の貯金箱は簡単な条件です。投入口から 200 枚の硬貨を入れると、硬貨はベースの上に落ち着き、合成した質量中心を上げます。それでもベースは、硬貨の入った外殻を起こさなければなりません。薄いベースと重い上部の外殻は傾き始め、傾いたままになります。
試験を 200 枚で指定するのは、そのためです。硬貨は落ちた場所に積まれるので、荷重は底部できれいな輪にはなりません。高い位置にある硬貨もあり、中心はそれに合わせて動きます。200 枚を入れて戻る貯金箱には、実際の使われ方に対する余裕があります。空のときしか戻らない品には、余裕がありません。
貯金箱を平らな面に置き、20° まで傾けて手を離します。正しい部品は、離した点を越えて揺れ、一度止まり、起き上がります。空の状態で一回、200 枚を入れて一回、同じ試験を繰り返します。空で通っても合格ではありません。空の試験は、ベースの上に載ることになる質量を除いているからです。
角度、荷重、結果を検査票に記録します。20° の押しは試験であって、子どもがどれだけ強く押すかという主張ではありません。角度は再現できる入力になり、余裕のある部品と、ぎりぎり戻る部品を分けます。
図面に次の行を足します。ベース断面 12 mm、完成重量 300±10 g、200 枚を入れた状態での 20° の戻り試験です。そしてCNC 後加工の後にベース座面を確認します。図面より深く削ると、最も低い位置の質量を削り取るからです。