500 個のロットのうち十二個がケースに圧入できなかった。原因はクロムの膜厚で、0.42 µm、上限は 0.3 µm である。直したのは二つ。電流密度を調整して膜を 0.25 µm に戻し、後処理とメッキの段階で嵌合を数にする試し圧を足した。
リングは Ø35.0 mm のベゼル、材質は Zamak 5(ASTM B86 AC41A)、高さ 1.8±0.05 mm、肉厚 1.5–1.8 mm。風防に押し当たり、ケース口へは 0.02–0.05 mm の締め代で入る。
十二個は組立でケースに入らなかった。機械の内径ゲージは通り、メッキ後の目視も通っている。失敗は、リングが相手ケースに当たったときだけ現れた。
分布はばらばらではない。十二個は同じラック位置から出ており、旋削ではなくメッキ槽を指す。ラック中央のリングは問題なく圧入できた。
失敗の形はこうだ。素地の状態では内径の余量に入っているリングが、メッキが載った時点で締め代の帯から外れる。
0.42 µm だ。失敗サンプルを X 線で測った値である。仕様が許すクロムは 0.1–0.3 µm なので、失敗品は上限より約 40 % 多いクロムを載せていた。
過剰分は、正常な銅とニッケルの層の上に載っていた。内径ゲージが通ったのはそのためだ。銅もニッケルも範囲内で、漂ったのは最も薄いクロム層である。
クロムが厚いリングが良いリングではない。内径を狭め、色を変え、プレスで割れることがある。
クロムは 0.25 µm に戻り、0.1–0.3 µm の窓に入った。次のロットは圧入の失敗がゼロである。変えたのはラックの電流密度で、浴の組成でも層の順序でもない。
ラック位置も見直した。ラックの端の部品は中央と違う電流を受ける。十二個の失敗は端から出ており、間隔と向きを変えて分布を均した。
この段階で図面を変える必要はなかった。図面はすでに層の範囲を書いている。直したのは、図面から離れていた工程のほうだ。
試し圧と相手ケースで、200–600 N の帯に入る力を読む。帯を下回るとリングは持ち上がるか回る。上回るとリングが歪むか、膜が割れる。
試し圧はいま初品の一部である。色ごと、メッキ膜厚の変更ごとに行い、最初のロットだけでは終わらない。力はリングとケースの両方で決まるので、ケースが新しいロットになれば検査は開き直す。
記録は、力の読み値の隣にケースの識別を残す。別のケースで測った力は比較できず、その数は判定の基準でなくなる。
| 検査 | 目標 | ゲージ |
|---|---|---|
| メッキ前の内径 | Ø32.0 mm、メッキ前の余量込み | 機械の内径ゲージ |
| 真円度 | 0.05 mm | 真円度測定器 |
| クロム | 0.1–0.3 µm | X 線膜厚 |
| 圧入力 | 200–600 N | 試し圧、相手ケース |
もともと要求されていた四つと、新しく足した一つ。締め代、メッキ前の内径、層ごとのメッキ、圧入力の帯、そしてそれぞれの値が適用される段階である。
足したのは段階である。これがないと、メッキ後のリングをメッキ前の数で検査して、嵌合の外にあるのに通してしまう。あれば、検査員はメッキ前にどのゲージ、後にどのゲージを使うかを知っている。
メッキの指示は層ごとのままで、合計にはしていない。「合計 18–27 µm」とだけ伝えられた供給者は、クロムを 0.4 µm にし、ニッケルを薄くして、その数を満たせる。ここで失敗したのは、まさにその組み合わせである。
薄いリングの圧入は、旋削と同じだけメッキで決まる。合計の範囲に入っている層でも、その層自身の限界は外れうる。この事例が示すのは、この二つである。
すべての薄いリングがクロム 0.42 µm で失敗する、という証明ではない。電流の調整がすべての圧入問題を直す、という証明でもない。ここにある証拠は、一つのラック位置、一つのケースのロット、一度の膜厚の漂いである。
持ち出せるのは記録である。失敗数、実測の膜厚、変更内容、試し圧の力。締め代の帯をケースの識別と一緒に図面へ書けば、次のリングでも同じ検査で見積もれる。
| 記録 | 値 | 仕様 |
|---|---|---|
| ロット数 | 500 個 | 記録例 |
| 圧入できなかったリング | 12 個 | 組立で不合格 |
| 失敗品のクロム | 0.42 µm | 許容 0.1–0.3 µm |
| 調整後のクロム | 0.25 µm | 窓の内側 |
| 圧入力の帯 | 200–600 N | 相手ケースでの試し圧 |
メッキ前の内径は同じ嵌合のもう半分である。内径の寸法を欠いた事例記録は、証拠の半分しかない。