Zamak 5 は見積もりの前に二つの数を決める。密度 6.6 g/cm³ と包絡体積で成品重量が 12±1 g に収まり、鋳放しの表皮が 18–27 µm の Cu/Ni/Cr を受け止める。どちらも合金と炉料の話で、メッキラインの話ではない。亜鉛合金の一族で、強度は Zamak 3 の上、流動性はわずかに劣る。
図面が壁厚 0.9–1.2 mm、メッキされるエッジ、成品重量 12±1 g 付近を定めているなら、Zamak 5 で見積もる。壁が 0.9 mm を切ると、問題は牌号ではなくなる。金型が届かない断面を埋められる合金はない。
壁が確保できた後は、三つの物性がこの注文を決める。密度が壳体を 12 g に抑え、鋳放し表皮がメッキ後に鏡面まで出せ、Ø1.5 mm の穴を破断せずに切削できる。メッキ後に 0.03 mm の段差高さを守るフレームもこの牌号の範囲内で、その公差は削って出すもので鋳て出すものではない。
8407 の入子で 4 キャビティ、30 万ショット(300,000 ショット)の設計目標という構成は、このフレームに向く。0.9 mm の壁が金属の凝固前に充填され、四つの充填前線が同じ窓に収まるからだ。壁がもう少し厚いと、構成は単キャビティへ戻る。薄肉の亜鉛ダイカストにも同じ境界が書かれている。
キャビティ数はコストの判断である。4 キャビティの金型は単キャビティより高いが、その費はロットで割る。割るのは個数であってキャビティ数ではない。300 個の試作ならこの型を 300 個で割る。金属を数える前から、価格の大半を占める。
ASTM B86 AC41A が定めるのはインゴットの成分で、成品の鋳物ではない。表 1 に範囲を示す。不純物の上限は買い手が最も飛ばす行である。
元素 | 成分範囲(%) | 不純物上限(%) | 何を抑えるか |
|---|---|---|---|
Al | 3.9–4.3 | — | 0.9 mm 壁の流動性 |
Cu | 0.75–1.25 | — | 強度と時効 |
Mg | 0.03–0.06 | — | 結晶粒の成長 |
Pb | — | ≤0.003 | 熱脆性 |
Cd | — | ≤0.002 | もろさ |
Sn | — | ≤0.001 | 粒界割れ |
アルミ、銅、マグネシウムには範囲だけがあり上限は別に設けない。鉛、カドミウム、錫には上限だけがあり下限は設けない。銅が強度と時効を決め、マグネシウムが結晶粒を抑え、三つの上限が一炉の悪い湯で全体をもろくするのを防ぐ。戻り材のランナーとスプルーを配合すると銅は範囲の上限へ寄るので、湯は前回の品質証明書ではなく規格で検査する。
亜鉛は酸にもアルカリにも活性なので、メッキは全面を封じなければならない。三層がそれぞれ一つの仕事を負う。銅が素地にかみつき、ニッケルが腐食を止め、クロムが耐摩耗と色を担う。それぞれ 8–12 µm、10–15 µm、0.1–0.3 µm、片面合計 18–27 µm である。
塗装亜鉛は三つの槽を省け、初期費用は安いが、エッジで負ける。時計ケースは袖口や机に毎日擦れる。ケースの力点がそのエッジにある以上、塗装は安い工程と短い外観寿命を交換している。メッキ不良を剥がすと三つの槽に戻して列に並べ直すので、遅れて見つかった膨れは納期と外観の両方を失う。メッキの記録が複数の経路を並べて比較している。
膨れがメッキで最初に現れる欠陥で、起点は表皮に通じたポア(鋳物表皮の下の空洞)にあり、槽の中ではない。銅槽の酸が孔に残り、ニッケル膜が蓋をすると、熱で残液がメッキを持ち上げる。脱脂と活性化をどれだけ丁寧にやっても孔は埋まらない。
だからポアは亜鉛ダイカスト側の責任で、メッキ屋の責任ではない。表皮に通じた孔は研削でもメッキでも平らにならない。表皮に達しないポアは無害で、管理すべきは表面とつながる種類だけである。
片面 18–27 µm が付けば、段差面も同じだけ上がる。孔径は直径方向に両側へ付くので 2 × 18–27 µm = 0.036–0.054 mm となり、段差面に許された 0.03 mm をすでに超える。
表 2 は重量予算を分解したもので、図面の包絡と代表密度を使う。
項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
包絡体積 | 13.7 cm³ | 38.0×38.0×9.5 mm の中実ブロック |
密度 | 6.6 g/cm³ | 代表値(B86 は成分を定め、密度は定めない) |
中実質量 | 90.5 g | 体積 × 密度 |
成品質量 | 12±1 g | 図面の目標 |
計算は 13.7 cm³ × 6.6 g/cm³ = 90.5 g の中実ブロックに対し、成品 12±1 g、つまり包絡のうち約 13 % が金属である。図面がこの重量を塊から求めているなら、それは余肉をより多く削る壳を求めており、削る時間は余肉に比例して増える。
0.9 mm のラグ壁に Ø1.5 mm の孔という組み合わせは、Zamak 5 がきれいに切れるか破断するかの境界にちょうど載る。差を付けるのは入口の面取りと出口の送りである。この合金は速く切れるほど軟らかいが、支えのない出口に耐えるほど軟らかくはない。
孔径の欠けが 0.1 mm を超えたら手直しではなく廃棄で、削って直した孔は自分の公差帯から外れる。後処理はこのリスクを価格に織り込むので、薄肉品の見積もりには常にロスが残る。買い手が書いても書かなくても同じである。
Zamak 5 を使えないのは三つ。潜水をうたう、面が長期の摩耗に晒される、壁が 0.9 mm を切る。汗、摩擦、日常の衝撃は範囲内で、メッキ前に 0.03 mm へ削る段差面も範囲内である。この三線を越えると、工程を変えても金は減らず、材料を変えるのが正しい。
ステンレスはまず重量が増え、同じ包絡で 12±1 g に収まらない。機械加工に回す塊も成品よりはるかに重い。塗装亜鉛は鋳物を保ち、三つの槽を削る。工程は減るが、メッキが守っていたエッジも失う。
どちらの道も嵌合の予算を動かす。ステンレスは Zamak 5 が近純形で作る場所を削って作る。塗装は膜を一層足すが、18–27 µm のような厚み管理はなく、0.036–0.054 mm のメッキ量で計算した嵌合はすべて測り直しになる。壁が 0.9 mm を切る、あるいはヘアラインの鋼のエッジが要る、という時点でこの牌号の外である。
四つの主要書類で見積もりは比較可能になる。各公差にメッキ前かメッキ後かを記した 2D 図面、3D モデル、数量、可視面の表面等級。加えてマスキング一覧が要る。マスキングは一つごとにメッキ屋の工程が増えるからだ。
この四つが価格の五項目を決める。機械加工の段取り回数、可視面のバフ回数、メッキの掛け具密度、薄肉帯のロス、ロットに薄まる金型費。一つ欠けると、二社目と比べられない幅の回答になる。見積もりは数値のある項目にしか値付けしないからだ。初品は検査設備で 0.03 mm のシックネスゲージと Ø1.5 mm のプラグゲージを使って確認する。